草刈り機のエンジンがかからない|上から順に試す9つの切り分け

ゼノアのエンジン式草刈り機のエンジン部 トラブル・修理

エンジン式の草刈り機がかからない。リコイルを何十回引いても、うんともすんとも言わない。

この状態のとき、いきなりプラグを外したりキャブレターを疑ったりする必要はありません。原因は上から順に潰していけば、たいてい途中で見つかります。しかも上のほうほど、簡単で、可能性が高い。

自分も何度もやりました。真夏に汗だくになりながらリコイルを引き続けて、結局かからず、肩を痛めて終わった日もあります。

先に結論を書いておくと、あの時間の大半は無駄でした。順番に見ていけば、引き続ける必要はほとんどありません。

この記事では、実際に自分がやっている切り分けの順番をそのまま書きます。工具がほとんど要らないものから並べてあります。

順確認すること必要な工具目安時間
1スイッチはONかなし10秒
2燃料は古くないかなし5分
3ポンプに燃料が来ているかなし1分
4チョークの手順なし1分
5かぶっていないかなし15〜30分
6プラグの状態を見るプラグレンチ10分
7火花は飛んでいるかプラグレンチ5分
8エアクリーナーの詰まりドライバー等10分
9燃料フィルター・タンク内針金等15分
上から順に。1〜5は工具なしで試せます。

その前に、安全の確認

エンジンがかかった瞬間に刃が回り出すと危険です。点検の前に必ず確認してください。

  • 平らな場所に置き、刃が地面や物に触れていないこと
  • 周囲に人・ペット・障害物がいないこと
  • 刃の回転方向に自分の足が入っていないこと
  • プラグまわりを触るときは、必ずプラグキャップを抜く

また、この記事の内容はあくまで一例です。作業の前に、必ずお使いの機種の取扱説明書を確認してください。少しでも不安があれば販売店へ。

エンジンがかからない原因は、3つしかない

難しく考える必要はありません。エンジンが動くために必要なのは、この3つだけです。

  1. 燃料が、適切な量で送られている
  2. 火花が、適切なタイミングで飛んでいる
  3. 圧縮が、十分に保たれている

このうち圧縮は、素人が手を出せる領域ではありません(そして壊れる頻度も低い)。実際にかからない原因の大半は、燃料か火花です。そして家庭用の草刈り機に限れば、燃料まわりが圧倒的に多い。

だから切り分けも、燃料側から順に見ていきます。

切り分けの順番

1. スイッチはONになっているか

笑い話のようですが、実際にあります。停止スイッチが「STOP」側のままだと、どれだけ引いてもかかりません。

前回の作業終わりにスイッチで止めた場合、そのままになっていることがあります。まずここを見てください。10秒で終わります。

2. 燃料は入っているか。そして「いつの」燃料か

草刈り機用の混合燃料を入れた携行缶
混合燃料は作った日から劣化が始まる。いつ作ったかを覚えていないなら、その時点で疑ってよい

量があるかどうかより、いつ作った燃料かのほうが重要です。

混合燃料は時間とともに劣化します。ガソリンは揮発性の成分から先に飛んでいくため、古くなると着火しにくくなる。さらに酸化した成分がキャブレター内部で詰まりの原因になります。

目安として、ひと月以上前に作った燃料は疑ってください。シーズンをまたいで残っていた燃料なら、ほぼ確実に犯人です。

タンクの燃料を抜いて、新しく作った燃料に入れ替える。これだけで直るケースが本当に多いです。

自分の場合

燃料は基本的に使い切りにしています。残ってしまったときも、遅くとも1週間以内には使い切る。

それでも、1ヶ月ほど前の燃料が残った状態でかかりが悪くなったことがあります。1ヶ月は「まだいける」と思ってしまう長さですが、実際には十分に怪しい。

とくに厄介なのが冬をまたいだときです。シーズン初めにかからないのは、正直「毎年のこと」だと思っています。

3. プライミングポンプを押して、燃料が来ているか

エンジン式草刈り機の始動まわりの操作部
始動まわりの操作部。プライミングポンプとチョークはこのあたりに集まっている

半透明のポンプ(プライマリポンプ)を数回押して、中に燃料が流れてくるかを見てください。

  • 燃料が流れてくる → 燃料の経路は生きています。次へ
  • 何回押しても空のまま → 燃料フィルターの詰まり、ホースの劣化、タンク内の異物が疑わしい(後述)
  • ポンプ自体がひび割れている → 部品交換。ここは消耗品です

4. チョークの手順は合っているか

冷えた状態からの始動と、暖まった状態からの始動では手順が違います。ここを間違えると、かかるものもかかりません。

一般的な手順は、

  1. 冷間時:チョークを「閉(引く)」→ 数回引いて初爆(ボスッと一度鳴る)→ チョークを開に戻してから引く
  2. 暖機後:チョークは開のまま。引くだけ

よくある失敗が、初爆のあともチョークを閉じたまま引き続けることです。これをやると次の項目、「かぶり」に直行します。

5. かぶっている(一番多い原因)

「かぶる」とは、燃焼室に燃料が入りすぎて、プラグが濡れて火花が飛ばなくなった状態です。

見分け方は簡単で、ガソリン臭が強くなっていること。何十回も引いたあとなら、まず疑ってください。

この状態で引き続けても、絶対にかかりません。むしろ悪化します。

リカバリの手順は、

  1. チョークを完全に「開」にする
  2. スロットルを全開にした状態で、リコイルを10回ほど引く(余分な燃料を吐き出させる)
  3. それでもダメなら、プラグを外して乾かす(次項)
  4. 焦らず、15〜30分ほど置いてから再挑戦するのも有効

慌てて引き続けるのが一番遠回りです。

自分の場合

チョークを引きすぎてかぶらせたことは、何度もあります。プラグを外して見ると、濡れていたことも、真っ黒だったこともありました。

そして正直に書くと、「これで直した」とはっきり言える回のほうが少ないです。散々引いてもダメで、諦めて放置して、後日また触ったら普通にかかった。そういう終わり方が一番多い。

これは裏を返せば、かぶりだったということです。時間を置いて余分な燃料が抜ければ直る。つまり、あの日に汗だくで引き続けた時間は、まるごと無駄だったことになります。

だから、かからないときほど手を止めてください。

6. プラグを外して状態を見る

ここからは工具(プラグレンチ)が要ります。付属している機種が多いので探してみてください。

必ずプラグキャップを抜いてから外します。外したプラグの先端を見ると、状態が分かります。

  • 濡れている(ガソリン臭) → かぶり。乾いた布で拭き、完全に乾かしてから戻す
  • 真っ黒でカサカサ → 燃調が濃い、または混合比が濃すぎる。清掃で復活することも
  • 白っぽい → 燃調が薄い。オーバーヒートの危険があるので要注意
  • きつね色 → 正常。この場合、原因はプラグ以外
  • 電極が摩耗している・碍子が割れている → 交換

プラグは数百円の消耗品です。判断に迷ったら、新品に替えてしまうのが早いです。

7. 火花が飛んでいるか確認する

外したプラグにキャップを付け直し、金属部分をエンジンの金属部に接触させた状態でリコイルを引くと、電極に火花が飛ぶかどうかを目視できます。

火花が飛ばない場合は、プラグ本体、プラグコード、イグニッションコイルのいずれか。コイルの故障なら販売店の領域です。

この確認は、燃料が周囲に漏れていない状態で行ってください。ガソリンが気化しているところで火花を飛ばすのは危険です。

8. エアクリーナーの詰まり

草の粉塵で目詰まりします。空気が入らなければ、燃料が濃すぎる状態になり、かかりにくくなる。

外して、光にかざしてみてください。向こうが見えないほど詰まっていたら清掃または交換です。

ここはシーズン中に一度は掃除すべき箇所ですが、忘れられがちです。

9. 燃料フィルター・タンク内

タンク内にある燃料フィルター(吸い込み口の小さなフィルター)が詰まると、燃料が上がってきません。

針金などで引き出して確認できます。黒く汚れていたら交換。これも消耗品です。

あわせて、タンク内にゴミや水が入っていないかも確認してください。

ここから先は、販売店へ

上を全部やってもかからない場合、残るのはキャブレターの分解清掃、イグニッションコイル、圧縮不良あたりです。

キャブレターの分解は、やれないことはありませんが、部品が細かく、組み間違えると症状が悪化します。費用対効果を考えると、販売店に持ち込んだほうが早いことが多いです。

修理費が本体価格に近づくようなら、買い替えの検討時期でもあります。

やってはいけないこと

  • かかるまで引き続ける → かぶりを悪化させるだけ。リコイル自体も消耗品です
  • リコイルを最後まで引き切る/勢いよく戻す → ロープやゼンマイが切れます
  • キャブレターにパーツクリーナーを大量噴射 → 内部のゴム部品を傷めることがあります
  • 古い燃料を「もったいないから」使う → 直近の不調の原因が、これである確率は高いです

燃料づくりを人に頼むとき、口頭で伝えるだけでは足りない

一度、息子に草刈りを手伝ってもらおうとして、混合燃料づくりを任せたことがあります。比率は口で伝えました。結果、間違った燃料ができあがりました。

これは息子の落ち度ではなく、自分の頼み方の問題でした。混ぜる比率を一度口頭で言われただけで正確に作れるほど、この作業は単純ではありません。オイルは少量しか入れないので、目分量が効かない。ガソリンの量が変われば、入れるオイルの量も変わる。

しかも混合比は機種ごとに指定が違います。必ず取扱説明書の指定に従ってください。オイルが濃すぎればかぶりやカーボンの原因になり、薄すぎればエンジンの焼き付きという、取り返しのつかない故障につながります。

「かからない」の一段深い原因が、実はここにあることもあります。

自分がやっている対策は3つです。

  1. 燃料容器に、指定の混合比を油性ペンで直接書いておく。缶を手に取った人が必ず目にする場所に書く
  2. 計量できる道具を、燃料と同じ場所に置いておく。目分量をさせない
  3. 初回は必ず一緒に作る。口で言うだけで済ませない

①だけでもかなり防げます。書いておけば、自分が数年後に忘れたときにも効きます。

作る人が変わるときが、一番危ない。家族に手伝ってもらう機会がある人は、先に手を打っておいてください。

そもそも、かからなくしないために

  • 燃料は使う分だけ作る。作り置きしない
  • シーズン終わりに燃料を抜く(保管方法は別記事で詳しく書きます)
  • エアクリーナーをシーズン中に一度は掃除する
  • プラグは1〜2シーズンで交換してしまう。安いので

この4つを守るだけで、「かからない」に遭遇する回数は激減します。

それでも直らない日は来る

エンジン式草刈り機とマキタの充電式を並べて比較
結局、エンジン式と充電式の両方を持つことにした。捨てたのではなく、使い分けている

ここまで書いておいて何ですが、自分の場合、最近は「作業中に止まって、そのままかからなくなる」ことが増えました。

切り分けをやれば大体は復帰します。ただ、真夏の炎天下で、汗だくで、あと少しで刈り終わるというタイミングでこれをやられると、正直つらい。

それが理由で、充電式を買い足しました。エンジンを捨てたわけではなく、使い分けるようになった。その判断が正しかったかどうかは、別の記事で実測込みで書きます。

まとめ

順番だけもう一度。

  1. スイッチはONか
  2. 燃料はあるか、古くないか
  3. プライミングポンプに燃料が来ているか
  4. チョークの手順は合っているか
  5. かぶっていないか(一番多い)
  6. プラグの状態
  7. 火花は飛んでいるか
  8. エアクリーナー
  9. 燃料フィルター・タンク内

上から順に。いきなり難しいところを疑わないことが、結果的に一番の近道です。

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