混合燃料の保管と処分|余らせないのが最善、それでも残ったら

草刈り機用の混合燃料を入れた携行缶 燃料・保管

シーズンが終わりに近づくと、必ず出てくる問題があります。余った混合燃料をどうするか。

捨てるのはもったいない。かといって置いておくと、来年かからなくなる。

結論から書きます。混合燃料は「保管するもの」ではなく「使い切るもの」です。そのうえで、どうしても残る分をどう扱うかを書きます。

草刈り機用の混合燃料を入れた携行缶
混合燃料の携行缶。ガソリンはポリ容器では保管できない

なぜ長期保管が向かないのか

ガソリンは時間とともに変質します。

  • 揮発性の高い成分から先に蒸発する … 着火しにくくなる
  • 酸化して変質する … 異臭が出て、色がオレンジから茶色へ変わる
  • 粘着質の不純物が残る … これがキャブレター内部を詰まらせる

とくに密閉性の低い容器で保管していた場合、この進行が速くなります。

一般には混合してから1〜2ヶ月以内に使い切るのが理想とされています。混合燃料はガソリン単体よりも扱いがシビアだと考えておいたほうが安全です。

「かからない」の原因を切り分けていくと、かなりの確率でここに行き着きます。詳しくはエンジンがかからないときの切り分けに書きました。

自分の場合

燃料は基本的に使い切りにしています。その日に使う分だけ作る。

どうしても残ってしまったときも、遅くとも1週間以内には使い切るようにしています。

それでも、1ヶ月ほど前の燃料が残った状態でかかりが悪くなったことがあります。1ヶ月は「まだいける」と思ってしまう長さですが、実際には十分に怪しい。

容器のルール

ガソリンをポリ容器で保管してはいけません。

  • 容器が溶けることがある
  • 灯油用のポリタンクと取り違えて誤給油する事故につながる
  • 静電気による着火の危険がある

必ず金属製のガソリン携行缶を使ってください。

携行缶を使うときの基本は3つです。

  1. 満タンにしない … 温度が上がると内圧が高まります。容量の9割程度に留める
  2. フタは確実に締める … 揮発と劣化を防ぐ意味でも重要
  3. 中身が何かを書いておく … 混合か、生ガソリンか。混合比も書く

3つ目は、家族が触る可能性があるなら必須です。自分は一度、息子に燃料づくりを任せて失敗しています。缶に書いておけば防げた話でした。

そもそも、携行缶に入れてもらえない

保管の話をする前に、最近はもうひとつ手前に壁があります。ガソリンを携行缶で買うこと自体が、簡単ではなくなりました。

2019年に京都で起きた放火事件を受けて、法令が変わりました。2020年2月1日から、ガソリンを容器に詰め替えて販売するときは、次の3つが義務づけられています。

  1. 顧客の本人確認(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、写真付きの証明書)
  2. 使用目的の確認(「農業用機械器具用の燃料」「発電機用の燃料」など、具体的に)
  3. 販売記録の作成(1年間の保管が必要)

店側にとっては手間が増えます。その結果どうなったか。

自分の場合

近所の普通のガソリンスタンドは、すべて携行缶への販売をお断りの状態です。

唯一買えるのが農協のスタンドですが、缶を持って行けば買えるというわけではありません。写真付きの本人確認書類を提示して、使用目的を伝えて、販売記録を作ってもらう。そのぶんの時間がかかります。

燃料を切らすと、この手続きからやり直しです。「ちょっと買い足してくる」が気軽にできなくなりました。

これは地域差があります。都市部と農村部でも、店舗の方針でも変わります。ただ、以前のように「空き缶を持っていけばすぐ入れてもらえる」時代ではなくなったのは確かです。

エンジン式を使い続けるなら、この手間は毎回ついてきます。

  • 買いに行ける店を、先に確認しておく
  • 身分証明書を忘れずに持っていく
  • 切らしてから慌てない。シーズン前に確保しておく

意外なことに、これが充電式を選ぶ理由のひとつになります。電気なら家のコンセントで済むからです。パワーや静かさとは別の、地味だけれど毎回効いてくる差です。

保管場所と、法律の話

あまり知られていませんが、ガソリンの保管は消防法と市町村の火災予防条例の対象です。

保管量扱い
40L未満市町村の条例で遵守事項が定められている
40L以上200L未満少量危険物貯蔵取扱所。あらかじめ消防機関への届出が必要
200L以上消防法上の許可施設
ガソリンの指定数量は200L。その5分の1が40L

自宅の草刈り用であれば、まず40Lを超えることはないはずです。ただし40L未満でも条例の対象である点は知っておいてください。「少量なら何でもいい」ではありません。

保管場所として避けるべきところは、

  • 直射日光が当たる場所
  • 締め切った物置の中で、夏場に高温になる場所
  • 火気の近く(給湯器、コンロ、焼却場所)
  • 居住スペースの中

風通しのよい、日の当たらない、火の気のない場所。基本はこれだけです。細かい基準は自治体ごとに違うので、気になるなら地元の消防署に聞くのが確実です。電話一本で教えてくれます。

シーズン終わりにやること

秋、最後の草刈りが終わったあと。ここでひと手間かけておくと、来春が楽になります。

  1. タンクの燃料を抜く
  2. そのままエンジンをかけ、自然に止まるまで回す(キャブレター内の燃料を使い切る)
  3. 抜いた燃料は、他の機械で使い切る
  4. エアクリーナーを掃除する
  5. 刈刃を外して、汚れを落とす
  6. 風通しのよい場所で保管する

2番目が肝心です。タンクを空にしても、キャブレターの中には燃料が残ります。ここが変質すると、春に詰まります。

「かかりが悪い」の多くは、この一手間を省いた結果です。

正直に書きます

ここまで書いておいて何ですが、自分はガソリン抜きをやっていません。面倒くさがりなので、毎年やろうと思いながら春を迎えています。

そして毎年、シーズン初めにかからなくて手間取る。原因は分かっていて、対策も知っていて、それでもやらない。

もし同じ状態の人がいるなら、はっきり言えます。春の30分より、秋の10分のほうが確実に安いです。自分に言い聞かせています。

物置に保管したゼノアBC222ST-EZ
シーズンオフの保管。風通しがよく、直射日光の当たらない場所に

余った燃料を捨てるとき

絶対にやってはいけないこと

  • 下水・側溝・地面に流す
  • 燃やして処分する
  • 一般ごみとして出す

いずれも危険であり、法令にも触れます。

正しい処分先は、ガソリンスタンドです。購入した店なら引き取ってくれることが多いですが、有料の場合もあります。事前に電話で確認してください。

自治体の廃棄物担当や、農機具店に相談する方法もあります。いずれにしても、自分で処理しようとしないこと。

作り方の基本は「容器で作って、振る」

保管の前段として、作り方にも触れておきます。

基本はこうです。

  1. 混合用の容器にガソリンを入れる
  2. 取扱説明書で指定された混合比に合わせて、オイルを計量して入れる
  3. フタを確実に締めて、しっかり振って混ぜる
  4. それから機械のタンクに入れる

大事なのは3番です。ガソリンとオイルは、入れただけでは均一になりません。振って混ぜる工程が要ります。

混合比は機種ごとに指定が違います。必ず取扱説明書に従ってください。オイルが濃すぎればかぶりやカーボンの原因になり、薄すぎれば焼き付きという取り返しのつかない故障につながります。

正直に書きます(真似はしないでください)

自分は、最初の1回だけきちんと計りました。そのあとは「この草刈り機なら、ガソリン満タンに対してオイルはこれくらい」と覚えて、機械のタンクに直接ざっくり入れて作っています。

楽なのでやっていますが、勧められる方法ではありません。タンクの中では十分に混ざらず、比率も毎回ぶれます。薄いまま回してしまえば焼き付きの危険があります。

自分はたまたま壊していないだけで、正しいのは容器で作って振るほうです。これから始める人は、最初から正しい方法で習慣にしたほうがいいと思っています。

容器に混合比を油性ペンで書いておくと、自分が忘れたときにも、家族に頼むときにも効きます。

結局どうするのがいいか

  1. その日に使う分だけ作る。これが最善
  2. 残ったら1週間以内を目安に使い切る
  3. 1ヶ月を超えたら疑う。2ヶ月以上は使わない
  4. 容器は金属製の携行缶。ポリ容器は不可
  5. シーズン終わりは燃料を抜いて、空になるまでエンジンを回す
  6. 余った燃料はガソリンスタンドへ

少し多めに作ってしまう気持ちは分かります。ただ、余らせたぶんの代償は、翌シーズンの「かからない」という形で支払わされます。

作る量を少なめにする。足りなければもう一度作る。その手間のほうが、はるかに安上がりです。

参考にした資料

保管に関する基準は自治体によって異なります。詳細はお住まいの地域の消防署にご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました